一般教養

社会|メンタルヘルス

直訳では「心の健康」を意味する。精神保健、精神衛生とも称され、世界保健機関(WHO)では「自身の可能性を認識し、日常のストレスに対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」と定義している。

働く人にとって大切な「心の健康」

 厚生労働省は、国民の健康を保持するために広く継続的な医療を提供すべき疾病として、「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」の4種類の疾患を掲げていましたが、2011年に新たに「精神疾患」を加えて5疾病とし、対策に力を入れています。

 

 働く上で「健康」は欠かせないものですが、「体の健康」とは異なり、「心の健康」はなかなか日ごろから意識しにくいものです。「心の健康」は目には見えにくいものですが、「体の健康」と同じようにとても大切なもの。「心の健康」を保って働くことができれば、仕事にも前向きに取り組めるため、生産性やモチベーションも高まります。一方で、職場などで過度のストレスを受けて「心の健康」を害してしまうと、「心の病気(うつ病、適応障害、パニック障害、睡眠障害、依存症など)」を引き起こす恐れがあります。「心の病気」で通院や入院をしている人は国内で日本人の30人に1人の割合にあたる420万人以上にのぼり(平成29年)、休職や離職につながるケースも少なくありません。メンタルヘルスの不調は心の風邪と言われるように、「心の病気」は誰もがかかりうるものなのです。

 
 心の不調は目に見えにくいため、上司や職場の同僚からも気づかれにくいという大きなデメリットがあるだけでなく、当人ですら気づかない場合も多くあります。そのため、「心の病気」は日頃から心が健康であることを維持しながら予防することがとても大事ですし、もしかかってしまった場合には周囲のサポートも重要で、早期に適切な治療等を受けさせることが大切です。

2014年に労働安全衛生法が改正され、労働者が50人以上いる事業所では全ての従業員に対するストレスチェックの実施が、2015年12月より義務づけられることになりました。ストレスチェックは、労働者一人ひとりが抱えるストレスの状態を知り、対処することを目的として実施されます。ストレスが高い状態の人に医師が面接を行ったり、調査結果をもとに職場環境を改善したりすることによって、「心の病気」を未然に防ごうとするものです。 まずは、ストレスチェックを受けることによってストレス状況に気付き、セルフケアに取り組むことから始めましょう。ストレスを感じていることに気付くことが、メンタルヘルス不調予防の第一歩です。


 労働者のメンタルヘルスケアのために、国や企業は制度面での施策を講じていますが、働く人に寄り添う存在である労働組合は、制度の推進とともに、独自の取り組みを進めていくことが大切です。具体的には、組合員の様子を観察し組合員の変化に気づくことや、職場の実態を把握し、兆候や課題を早期に発見することが挙げられます。また、職場を巡回しながらストレスの原因となりうる要素を見つけ出すことも有効でしょう。もし発見した場合には管理者や会社に働きかけるなどの行動を起こし、職場環境を改善していきましょう。また、組合員同士がコミュニケーションを活性化できる環境を提供し、些細なことでも相談し合える良好な人間関係をつくることも有効な取り組みです。人と人とのつながりを構築することはとても大切なことであると同時に、困ったときには気軽に労働組合に相談できる環境づくりや、多くの組合員が組合事務所に足を運んでくれるような環境を日頃から常につくり出しておくことがとても重要です。

 

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