労働組合

ち|賃金カーブ

縦軸に年収、横軸に年齢をとって描いたグラフであらわす賃金の推移。

自身の賃金体系を知ることは生活安定への第一歩

 各職場でそれぞれの人の賃金を年齢や勤続年数の順で並べていき、その平均値をとっていくと、年齢や勤続年数が増えるにつれて、賃金は上がっていき、右肩上がりのカーブが描かれ、60歳前後から下降線をたどるとします。これで職場の賃金のおおよその傾向を示す曲線が描かれます。この曲線のことを「賃金カーブ」といいます。

 日本人労働者の賃金カーブは、60歳手前くらいまでは年齢とともに昇給する右肩上がりのグラフが一般的でした。しかし近年、不景気などの影響で終身雇用制の維持が困難となったこと、また働き方の見直しのなかで、成果賃金制に移行する企業が増えた結果、賃金カーブがフラット化する傾向にあります。

厚生労働省『平成26年賃金構造基本統計調査 -性別-』をもとに作成

 

 定年退職が60歳から65歳に伸びたことも、フラット化の原因にあげられます。勤務年数を延長した場合、生涯賃金を変えず、かつ賃金の減額もせずに支給すると、40代以降の昇給は望めません。子供の養育費などを含め、生活費の負担が重い40代で昇給が打ち止めになると、未婚・晩婚化に追い打ちをかける可能性が出てきます。
 また、男女別の賃金カーブを見ると、女性は男性に比べ生涯賃金が抑えられていることがわかります。賃金格差の原因のひとつに、非正規労働者の女性比率が高いという問題があります。日本は国際的にみても男女間の賃金格差が大きく、OECD加盟国の中では韓国に次いでワースト2位という状況です。
 
 賃金カーブは職種や企業によって大きく異なるため、あくまでもひとつの目安にすぎません。とはいえ、自社の賃金カーブを知ることで、将来への見通しが立てやすくなり、長期的な視点での生活設計が可能になります。労働者の安定した生活を確保することは労働組合の役割のひとつです。労働組合は賃金カーブの提示を促し、労働者の生活を支えていきましょう。

 また連合に加盟している組織の場合、賃金実態調査に協力することで、個別賃金プログラムの利用が可能になり、同職種や同地域の他社状況と比較することで、会社との賃金交渉に活用することができます。こうしたことを通じて組合員の賃金の底上げに取り組んでいきましょう。

 

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