労働組合

ろ|労使協議

労働者と経営者による労働条件や職場環境、経営状態などについての話し合い。

話し合いは労使コミュニケーションの潤滑油

 団体交渉は、憲法第28条および労働組合法第6条に定められた労働組合の権利です。労働組合と会社が対等の立場に立って、自らの雇用・労働条件について話し合う場であり、正当な団体交渉の要求を会社側は拒否することはできません。正当な団体交渉を行ったことを理由に、組合役員や組合員の解雇など、不当な扱いをすることは、不当労働行為として禁止されています。

 一方、労使協議(会)については、法的な根拠はありません。労使が協力・協調して情報共有や認識の一致を図ることを目的とする場であり、労使間の合意に基づき開催されます(多くの場合は労働協約等において年間決まった回数以上の労使協議を行うことを謳っています)。従って、労働条件や職場環境にかかわる事項のみならず、経営環境や会社の経営方針・ビジョンなどを含めた協議が行われています。労使が詳細な経営情報を共有し、積極的な意見交換を行うことは、ステークホルダーとしての労働組合のチェック機能の発揮という役割もありますし、団体交渉を円滑に行うためにも有効な場でありメリットとなります。

 厚生労働省の「労使コミュニケーション調査」(2018年)では、労使協議機関を設置している事業所は全体で37.1%ですが、そのうち、労働組合がある事業所では、83.9%で設置されており、労働組合が積極的に労使協議会を活用していることがうかがえます。

 

 労使が話し合う場を持つこと(労使協議)は、日々起きている労働をめぐる問題や職場環境に関する意見や考えを伝えやすくなります。また、意見を申し立て、具体的な改善がなされれば、働く人の労働意欲を高めることにもつながるでしょう。経営者側にも利点があります。経営側の視点では気付きにくいような現場で起きている問題や課題を、こうした場を通じて把握できるという点です。問題の解決や、より良い職場環境の構築に向けて最も大事なのは率直な意見交換をすること、場を取り繕うようなやりとりにしないことです。そうすることによって、経営課題を発見することもできます。

 
 労使協議を行う際は、あらかじめ協議の目的と論点を明確にすることが重要です。労使が情報交換をする場であっても、「ただの話し合い」をするだけでは意味がありません。お互い忙しい中で話し合いの機会を持つわけですから時間も有効に使わなければなりませんし、なにより労使双方にとって有意義な場となるようなテーマ設定が不可欠になります。また労使協議の場はお互いの揚げ足取りの場ではありません。求めている回答に対してしっかりとした準備を会社にしてもらうことで、実のあるやりとりになるはずです。それに加えてテーマに沿ったフリートークなどを織り込むとより良いものになるでしょう。

 もちろん事前に開催場所・開催時間・参加メンバー・進行方法なども明確に設定しておくと会がスムーズに進行できることになります。「労使協議会は勤務時間内に行っても良いのか?」という疑問を持つ人もいるかもしれません。しかしながら、団体交渉を含め、開催時間について労働組合法第7条3号には、「労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することは使用者が許すこと」は、支配介入に当たらないとしています。組合役員の負担も鑑みれば、団体交渉を勤務時間内に実施できるよう、その際の賃金支払いを会社側に認めさせる労働協約を締結しておくと良いでしょう。

 定期的に労使協議の場を設け、有益な話し合いが行える環境づくりをすることで、労使間の相互理解を深めることにもつながりますから、労使協議は、さまざまな要求の実現を求める労働組合の最も重要な役割の一つだと考えられるでしょう。

 

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