世界で一番大きい労働団体である国際労働組合総連合(ITUC)には、161カ国、1億7,500万人の労働者が結集しています。このように現在では、どこの国にでも活動している労働組合も、その歴史をたどるとわずか200年にしかすぎません。
18世紀後半にイギリスで起こった産業革命は、従来の手工業生産から機械による生産へと一大変革をもたらしました。手工業生産に従事していた熟練労働者は職場を追われ、それに代わって女子や未成年者が雇われ、極端な低賃金の下で、過酷な長時間労働を強いられてきたのです。解雇された労働者やその仲間たちは、「打ち壊し運動」と呼ばれるような機械や設備の破壊行為や工場主の襲撃など暴動まがいの行動に出ましたが、軍隊に鎮圧され、多くの労働者が逮捕・処刑されました。
こうした苦しい運動の経験から、労働者は、「自分たちを苦しめているのは、機械や設備ではなく、資本家である経営者である」ことを悟りました。そこで、打ち壊しや暴動から行動を一転し、資本家に対抗するために、労働者が団結して労働組合を作って組織的な行動をするようになりました。
1799年には労働組合の結成を禁止する「団結禁止法」が制定され、組合結成もストライキも禁止されました。しかし、それにも屈せず、労働組合は闘いつづけました。そして、1824年、「団結禁止法」は撤廃され、組合運動の自由が認められるようになったのです。