一般教養

生活|介護が必要になったときに備えよう

1.他人事ではない「大介護時代」

 ベビーブーマーの「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる2025年。高齢者人口(65歳以上)が約3,600万人に達し、国民の4人に1人が75歳以上という超高齢化社会では、労働力不足、介護・医療費等の社会保険費の増大など、さまざまな分野に問題が生じることが予想されます。すぐ目の前に迫る2025年問題は、雇用、財政、医療など社会全体に深刻な影響を及ぼすことが指摘されています。
 諸外国に例をみないスピードで高齢化が進むわが国は、今から4年後には、20〜64歳の人1.8人で高齢者1人を支える構造になります。今後も低い出生率が続けば生産年齢人口(20〜64歳)はさらに減少し、2050年には高齢者1人を1.2人で支える社会が訪れると推計されています。子育て支援等の充実、高齢者が長く働ける環境づくりなど、社会保障改革によって支え手を少しでも増やす努力がますます重要になってくるでしょう。
 2020年9月現在、要介護(要支援)の認定を受けている人は約676万人(厚生労働省「介護保険事業状況報告 月報(暫定)」令和2年9月分)に上り、介護が必要な人の割合は75歳以上になると大きく上昇する傾向があります。その主な介護者は同居家族が5割以上と最も多く、次いで別居家族等が続きます。介護の担い手になるのは約7割が女性で、年代でみると40代、50代と徐々に増えていき、60代で最も多く、70代以上のいわゆる老老介護のケースも相当数みられます。
 親の介護が始まる40〜50代といえば、働き盛り世代で、会社でも職責の重い仕事を任されていることが少なくありません。そうした中で突発的に介護の問題が発生すれば、要介護状態の親を抱えて仕事との両立が困難になり、離職を余儀なくされることも考えられます。住宅ローンや子どもの学費などまだまだお金がかかる時期に介護に関わる経済的な負担が加わるだけでなく、離職によって介護が終了した後の生活や自分自身の老後などにも影響が出てきます。こうした介護・看護を理由とした介護離職者は毎年10万人程度いることが総務省の「就業構造基本調査」で明らかになっています。

 

2.介護に必要な「時間」と「お金」

 いつ終了するかわからない介護期間と予定外の出費が懸念される介護関連費用の負担は、介護者に重くのしかかる大きな問題です。公益財団法人生命保険文化センターが介護経験者を対象に行った調査(公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年度))によると、介護に要した期間は平均で54.5カ月(4年7カ月)。最も多かった回答は「4〜10年未満」の28.3%で、4年以上介護に費やしたという人が全体の4割以上を占めています。また、「10年以上」と回答した人の割合も14.5%と高く、先々の見通しがつかない現実が浮き彫りになっています。
 介護にかかった費用については、住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用と月々の費用を調査しています。一時費用の合計は平均69万円で、「かかった費用はない」あるいは「15万円未満」という人が合わせて35%弱いる一方、6.1%の人が「200万円以上」と答えています。住宅改修費の助成制度はあるものの、場合によっては高額な費用を自己負担するケースもあるようです。
 また、介護サービスの利用料など月々にかかる費用は平均で7.8万円。支払った費用にはばらつきがありますが、「15万円以上」という人も15.8%おり、親が遠方に住んでいる場合には交通費などの費用が加算されることが考えられます。

 

3.介護と仕事の両立するために、今からできること

 介護離職を防ぐために、2017年1月には「改正育児・介護休業法」が施行され、仕事と介護の両立を可能にするための制度が整備されました。これに伴い介護休暇や所定労働時間の短縮に関する事項が変更され、介護休業の分割取得もできるようになりましたが、介護をしている人のうち、実際に介護休業、短時間勤務、残業免除等を利用している人は10%にも満たず、制度がうまく活用されているとは言い難い状況となっています。その背景には、仕事を休むことへの不安や今後のキャリアへの影響、制度の周知不足などが関係していることも少なくないようです。一人ひとりが支援制度を理解し、いつ誰に訪れるかわからない介護と仕事をうまく両立していけるような職場環境づくりが求められています。
 また、一人で抱え込まずに誰かに相談するということも大切です。急に始まる介護ですが、高齢者である親の暮らしを一変させないように、日頃から交流のある周囲の人に手助けをお願いしたり、介護について相談できる適切な人を探したりすることで、一人で担うという意識を変えることが必要です。市町村に設置されている地域包括支援センターは高齢者とその家族の生活を支える相談窓口として活用できるということも覚えておきましょう。
 介護を続けていくうえでは、家族や親戚、友人だけでなく、かかりつけ医やケアマネジャー、居宅サービス事業者などとともに、親とあなたを中心とした「チーム」をつくることが重要なのです。

静岡県労福協
静岡ろうきん
こくみん共済coop
ALWF
静岡県生活協同組合連合会
静岡ユニオントラベル
連合静岡